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自作ゾンビ小説の草稿投稿中。
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いらっしゃいませ。


自作のゾンビ物語の草稿を投稿中です。
予定では4日間の出来事として書いて
いますが3年も経つと言うのにようやく
3日目。それでもめげずにやって来れた
のは読んでくれる方がいらっしゃるから
こそと感謝しています。今後も感想なり
コメント頂けますと非常にやる気と
励みになります。宜しければ一言でも
添えて頂けますと嬉しいです。
自作ゾンビ物語。
[portrait of the dead]

めざせ!! ゾンビ小説家!!
ゾンビが好きすぎて自作のお話なんか
拵えております。なにぶん素人の
書く物語なので大目にみて下さい。
「ゾンビと暮らす。」(仮)→目次
スペシャル企画。
不定期更新
◆ZOMBIE vs. BABY◆


「生ける屍対赤児/目次」
「産まれて間もない新生児」と
「死して間もないゾンビ」との比較検証。
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南瓜金助 (みなみうりごんすけ)
性別:
男性
自己紹介:
別HNカボチャスキのお送りします
来た人だけが知っている秘密の部屋。
言うに洩れずホラー映画が好きです。
憧れの人はフック船長と芹沢博士に
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彼らに多大なる恩恵を授かりました。
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[portrait of the dead]



 

父さんに抱えられるようにして縛り止められた母さんが僕に気が付き、ボクに向かって手を伸ばしだすと、父さんや五十嵐さんご夫婦もボクに気がついた様で、全員でボクの方を向き、捕まえようとしてか8本の手が伸びて来て、それぞれゆっくりと歩き始め、近付いて来た。

 

この壮絶な姿…父さんは下顎が無く喉まで裂かれた首の奥からは喉仏らしき軟骨が飛び出しコブラの鎌首のように動いている。母さんの顔は口が耳まで避けた様な傷が見え下半身が無く腸の無くなった胃袋らしき物体がぶら下がり、五十嵐さんご夫妻は二人とも土に埋められていた事で腐敗が激しくカビ臭い様な生肉が腐った様な強烈な臭いを放ち、たかる虫やミミズがたまにポロッと落ちる。まさかボクの家の中で死で虫が這い回る姿を見る事になるとは考えもしなかった…

 

追い出せるものなら追い出した方がいいとは思ったが、壮絶な姿を前に何も考えられなくなり、父さん達がボクの元に辿り着く前に、ボクはリビングの扉をゆっくりと閉め、このまま父さん達を閉じ込められないかと辺りを見渡すと、玄関の下駄箱の脇に父さんがやつらを倒しながら帰って来た時に使ったと思われるゴルフのクラブを見つけた。手に持っていたバットと取り替えるようにゴルフクラブをつかみ取る。リビングはスライド式の扉でレールの上のスペースにゴルフのクラブを斜めに嵌め、押し込んで中からは扉が開かないようにした。

 

父さん達が扉にぶつかりだしたのか、内側から“どん…どん…”と鈍い音がする。

安心出来るほど充分な処置ではないけれど、これでしばらくは時間稼ぎができる筈。

 

ボクは彼女を背負ったまま自分の部屋へ続く階段を登り、開けっ放しだった扉を見て他に侵入者がいないかと恐る恐る部屋の中を覗く。彼女をのり巻き状に包んでいた何かが腐敗したような臭いのしみ込んだ敷き布団が目に入る。人影はなく侵入者はいない様なので部屋に入ると置きっぱなしだった敷き布団を3つ折りに畳んで部屋から出し階段に堤防の様な状態が出来るようにはめ込んだ。万が一やつらが階段をあがって来た時にやや反り返った状態の敷き布団が、階段や坂道が苦手なやつらの侵入を防ぐのにも効果がありそうだった。

 

部屋に入りドアに鍵を締めるとその場ですぐに座り込んでしまった。ヘトヘトだ。彼女をいつまでも背負っていてはボクもしんどい。彼女を背中から降ろす前に、これからどうやって彼女を過ごさせようか考える。

 

窓ガラスに雨の当たる音が満ちて来た。
本格的に雨あしが強くなって来た様だ。
この惨事が起きてからまき散らされた道路上の血の跡も、やつらが垂れ流している腐敗臭もキレイに流されろだろう…晴れた暁には空気が清々しく感じ、何も起こっていなかった日常と勘違いしてしまうかも知れない…

 

彼女をのり巻き状にしていた敷き布団は臭いも激しいし階段の堤防に使ってしまったので、彼女を縛り止める為の代わりの案を考え出さないと…ベッドのマットレスは巻き付ける事ができるような厚さではないし、ロープで縛ったとしても突如彼女の力は自分の体を引き千切ってしまいそうな強さを発揮するし、例え縛った状態で洋服ダンスや押し入れに入れたとしてもおとなしくし入っているとは思えない。結局、彼女を縛り止めるいい考えが思い浮かばないので、彼女は縛らずに部屋の中で過ごさせ、ボクが屋根裏にある物置に隠れる事にした。

 

屋根裏はうっすら埃が積もってはいたものの過ごせない環境でもない。
彼女を背負ったままで、屋根裏へ通じる天井の出入り口を開きスライド式の階段を引き出して屋根裏に掛け布団に毛布や厚手のパーカーなど寒さを凌げる準備をする。部屋へ戻ると彼女を背中に縛っていたロープをカッターで切り、彼女を背中から降ろし、慎重にヘルメットを外した。中から猿ぐつわを嵌められた彼女の顔が現れる。流石に猿ぐつわは取る事は出来なかったが、彼女自身が選んで購入したであろう桜色のワンピース姿の彼女を見ると、これから始まる彼女との暮らしが楽しみで仕方なかった。しかもお兄さんの公認。苦労して彼女の家に連れていった事がボクにとっては吉と出た。

 

彼女を部屋に放し、ボクは急いで部屋を出ると外側から椅子でドアを固定し内側から開かないようにして、屋根裏に移動した。

 

屋根裏は入口を閉め切ると真っ暗だ。懐中電灯は多分リビングに置いたままと思い持って来なかったので、携帯電話の明かりを灯し、這って歩きながら周囲を確認した。前にダンボールを探しに来た時は気にもしなかったけれど、ここで寝るとなると天井までの距離がとても低く感じる。屋根裏の隅に積まれた何かをしまってあるらしきダンボールの手前にソケットに収まった裸電球を見つけた。母さんが探し物を見つけに入ってそこに置いたままなのかもしれない。携帯電話の明かりでは心もとないので助かった。ソケットの脇にひねるタイプのスイッチがあり、回すと明りが点いた。天井部分に裸電球を掛けられるフックを見つけそこに引っ掛けると屋根裏全体が明るくなった。寝るには申し分ないけれど夜の雨降りは冷え込みそうな気配で、パーカーを着て毛布に包まり掛け布団を被り体が冷えないようにした。携帯電話に目をやるが着信も留守電も無し。生き延びた友達は無事消防署へ避難したし心配は心配だけれど一安心。充電の残量の目盛りが目に見えて減っていない様なので、携帯電話からネット環境に接続してなにかしらの情報を得ようと試みた。ざっとみた掲示板サイトには目新しい情報は無いようだ…多くが「ドコドコにいます救出願います」と言った助けを求める人達の声…それに応じる返信は殆ど無い。先日出会った消防士さん達の様な頼もしい存在でない限り、この人喰いの蔓延する世界に助けに向かうのは文字通り命がけ、外出すらままならない…救出はされないまでも、こうした状況下で一部のライフラインが稼動しているという事は、死を免れた人々がまだ生活しているとした上での処置と信じる…おのおのがきっと出来る限りの事をしている。そう考えると、まだ生存している人達がたくさんいる事がボクを落ち着かせていた。あくまでもボクの仮説ではあるけれど、“死者は歩き回るもの”と言う死の概念が変わった今、誰もが1日1日を“生きている”事を尽く感じながら生き延びているのではないだろうかと思った。

…ボク自身も気付いた、最も生きている状態を示した実感…死と、隣り合わせ。

 

ふと、さっき目の当たりにした彼女の姿を思い浮かべた。
 

肩口からもがれたように失った左腕にヒラヒラ舞うワンピースの袖がいつまでも痛々しい。

彼女の腕をなんとか元通りにはできないだろうか…

そう考えた瞬間、やつらの特異な機動力が思い出された。

 

「…まてよ?やつらバラバラの体がひとつにまとまるんだよな?」

 

やつらはバラバラでも肉を食らい付くようにくっつく特性がある…

もしかすると彼女の腕が見つかれば、元通りとはいかないまでも見た目それなりに復元出来るかもしれない…それが彼女の腕で無かったとしても、似たサイズの腕を手に入れる事ができれば彼女の腕として機能するかもしれない…

 

我ながらよく考えついた。
 

彼女の腕を復元する。
 

明日、雨が上がっていたら、彼女の腕を探しに、学校に行こう…

 

決まりだ。


 

屋根をたたく雨音が耳当たりよくなると、裸電球の熱量が屋根裏部屋の空気をほどよく暖め、ボクは眠気に襲われる。

 


 

夢を見た。

 

小高い丘の頂上に小さな小屋と1本だけそびえ立った大きな桜の木がある。
桜は絵に描いた様な柔らかなピンク色の花が満開でそよ風に散り、ヒラヒラと舞っていた。
周囲の見通しはよく、この小屋を囲うように丘の麓まで森が茂り川も流れている。小高い丘の斜面はやや急な坂…やつらの行進を妨げる事ができ、立地条件は理想的だった。小屋の周りはやつらの侵入を防ぐ為の柵が立てられ、芝生が敷かれた地面の緑色が鮮やかだ。ボクは大きな桜の木に手作りの表札をぶら下げようと木に登っていた。表札に刻まれているのはボクと彼女の名だけ。目の前に散って見える桜の花びらは、それぞれがハートの形をしていた。

 

ボクを呼ぶ声がした様な気がして桜の木から飛び降り、小走りに小屋へ向かい、中に入って行く。

 

小屋に入ると、そこは彼女の家で見た彼女の部屋が完璧に再現されていた。桜色のハートマークがそこかしこに点在する柔らかな空気感漂う空間だ。部屋の中心には彼女が学校の制服を着て立っている。失った筈の左腕もあった。これは明らかに夢だと感じつつも、ボクは彼女に向かって声をかけた。

 

「呼んだ?」

 

彼女はただ黙ってボクに向かって満面の笑みを浮かべる。

眩しかった。

ボクは幸せで胸が一杯になった感覚を憶えた。

 

「この笑顔を守るのがボクの使命だ…」

 

彼女が生きてるのか死んでいるのか、そんな事は気にも止めず、

真っ直ぐに、ボクはそう心に誓っていた。

 

 

夢を見た。彼女の夢を。

 

この惨劇の最中、彼女が心配になって学校に探しに行った時、制服姿の彼女の後ろで桜吹雪が舞っていたのを思い出した。死んでいた彼女と散り行く桜のコントラストが美しかったんだ。

 

夢に出て来た夢の様な我が家…彼女の笑顔を作る為だけの、世界。


夢は、これから彼女と暮らして行く為の重要なヒントになった。

 

「その笑顔を守れるのは、君だけかも知れない。」

彼女のお兄さんに言われたその一言と、彼女がボクを好きでいてくれたのかもしれないと思えた事が、ボクにこんな夢を見させたのかもしれない。


 

 

 

(続く)














 


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