自作のゾンビ物語の草稿を投稿中です。
予定では4日間の出来事として書いて
いますが3年も経つと言うのにようやく
3日目。それでもめげずにやって来れた
のは読んでくれる方がいらっしゃるから
こそと感謝しています。今後も感想なり
コメント頂けますと非常にやる気と
励みになります。宜しければ一言でも
添えて頂けますと嬉しいです。
めざせ!! ゾンビ小説家!!
ゾンビが好きすぎて自作のお話なんか
拵えております。なにぶん素人の
書く物語なので大目にみて下さい。
「ゾンビと暮らす。」(仮)→目次
来た人だけが知っている秘密の部屋。
言うに洩れずホラー映画が好きです。
憧れの人はフック船長と芹沢博士に
スネーク・プリスキンとDr.ルーミス。
彼らに多大なる恩恵を授かりました。
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[portrait of the dead]
「大丈夫かい?!」
彼女の家に到着し門から僕を迎え入れてくれた男性は、突然へたり込んだ僕に驚き歩み寄って問いかけて来た。到着の安堵からか僕の両足は重力に耐える事が出来ず小刻みに震えていた。
「あ…大丈夫です……理子さん、お連れしました…」
そう言った途端に彼女の衣類の乱れを再び思い出し、申し訳なく思う。
「す…すみませんでした!!」
へたり込んだまま謝ったせいで土下座した様な雰囲気になってしまった。
「あの、ご…挨拶が遅れました…僕、理子さんと同じ高校に通う…」
「挨拶は後で…すまないが…立てるかい?」
「あ…た…立てます…いま、立ちます…」
僕は震える足に気合いを入れ、両膝に両手の平を載せ勢いをつけて立ち上がると男性は僕の背後に回り、背負った彼女のさらに後ろから僕の両腕を掴んで、僕を屋敷の様な建物の入口玄関方向に向けて押さえ込んだ。
「玄関が見えるかい?」
「はい…」
「このまま横歩きで左にあるガレージに行こう。」
「わ…解りました…」
左方向にシャッターのおりたガレージの様な建物を確認する。
何が目的か解らなかったが僕は言う通りにする。
「家の玄関から視線を右に動かすと大きなサッシ窓が見えるだろう?」
「はい…」
「その窓越しに二人…見えるかい?」
「はい…」
「理子の父と母だ。申し訳ないんだが…実は君は歓迎されていない。」
「え?」
「君が来るまでになんとか説得して理子を引き取りたかったんだが
今以てまだ両親は理子の死を受け入れられない様なんだ。」
「あ…すみません、僕そんな風に考えているとは思っていなくて…」
意外だった。
さっき線路ですれ違った一家だって家族がこうなってしまっても
身近に置いておきたいという様な話をしたばかりだったので
彼女の両親が彼女を引き取らないなんて事は微塵も考えもしなかった…。
「いや、こちらこそすまない。この様子じゃあ、来る途中もかなり危険な目にも遭って来たんだろう?やっとの思いでここまで来てくれたのに…」
彼女を両親に見せないようにする為、横歩きのままガレージのシャッターの前に到着した。男性は僕にかかる彼女の体重を軽減してくれたのか背後から彼女を少し持ち上げてくれていた。正直、おぶっているのは相当きつくなって来ていたので有り難い。窓際のご両親はこちらをじっと見ているままだ。
男性がシャッターを開けると僕達も中へ招かれた。車が2台。そう詳しくは無いけれど、車体前面中央部分にエンブレムが堂々と輝いているのが判った。ジャガーとベンツだ。ベンツのフロントガラスにはヒビが入っていて車体前面には血が飛び散りこびり付いていて、所々凹んだ跡が出来ていた。家路を急ぐ時に凄まじい事態に陥った事が見て取れた。その横には縦列に中型のバイクとスクータータイプの原動機付き自転車が並べられていた。暗かったガレージ内の明りが点きシャッターが閉められた。
「今、理子をおろすから…」
そう言って男性は工具箱からカッターを持ち出し彼女と僕を縛り止めていたロープを切った。彼女の体重から解放された僕は再び床にへたり込んでしまう。
僕と離された彼女の体からもロープが外され、彼女はその二本の足でふらふらとよろめきつつも立っていた。車が二台並んだその横に沿う様にちょっとした応接室の様な一角があって、二人座れるソファーがふたつテーブルを挟んで向かい合わせで置いてある。男性は彼女を抱きかかえると革製のソファーに腰掛けさせ、近くにあった洗車用のゴムホースで彼女を縛り止め始めた。
「今、飲み物を持って来てもらうから…適当な場所で休んでいてくれ。」
足の震えがまだおさまらない。僕は上手く立ち上がる事が出来無いのを気付かれたくなかったので座ったままシャッターに背をもたれ平静を装う。
「はい…ここで大丈夫です」
ガレージの隅に設置されていたインターフォンで男性が話している。
「よし子さん?今、お客様とガレージにいるんだ。冷たい飲み物をお願い
出来るかな?僕にはコーヒーを頼みます。」
男性は彼女の様子が気になる様で、縛り止めたソファーの前に立つと上半身を屈めながら彼女の被ったヘルメットの中を覗き込んだ。
「理子…お前、なんて姿に…」
男性はヘルメットを取ろう顎の下の留め具を触り始めた。
「あ!!、気を付けて下さい。」
彼女に猿ぐつわまで噛ませているのを思い出した僕は
立ち上がっておぼつかない足取りで彼女に近づいていった。
男性がヘルメットを外している。
「噛まれると感染する様なので、念のため猿ぐつわを…」
僕はお断りを入れ、様子を見守る。
「本当に…死んでいるんだな…」
ヘルメットを外された彼女の顔を見てお兄さんが呟いた。
彼女は口に猿ぐつわを噛まされたまま、灰色がかったうつろな目を
男性に向けていた。
「私としては理子を家族の一員としてこの家ですごさせてやりたいんだが
…この様子じゃあ、父も母も今以上に受け入れられないかも知れないな。」
「え?…どうしてですか? 理子さんのご家族ですよね? 記憶だって残って
いるんですよ?生前に印象深かった様子なんかを憶えているんです。」
「それは初耳だ…本当なのか?」
そう言って男性は驚きながら僕の方に振り向いた。
僕らはここで初めて顔を見合わせた。
「…ん?、君、私とどこかで会った事無いか?見覚えがあるんだが…」
僕の方には全く見覚えが無く…
「いえ、会った事は無いと思います。初対面だと思いますけど…」
「そうか…あぁ、紹介を忘れていたね。理子の兄です。いや、本当にあった事無い?
どこかで見かけた事あるお顔なんだが…どこだろう?」
「その辺にいそうな顔なんですよ、僕。見間違いだと思います。」
「そうなのか?いや、確かにどこかで………」
お兄さんの印象は良かった。細かな青いラインの入ったワイシャツはひとつボタンを外してあって、明るい紺のスラックスを履いていた。均整の取れた顔立ちは少しだけ彼女の面影を残すも男らしい雰囲気。髪も短髪で前髪を斜めに上げた感じの横分け。爽やかな容姿。
コンコン…
僕の右手奥、ガレージのシャッターの脇にあるドアがノックされる。
「お飲物をお持ち致しました。」
「あぁ、よし子さん、どうぞ入って下さい。」
「はい、お邪魔致します。」
ドアが開かれ、メイド服を着た女性が入って来た。30代後半だろうか髪は後頭部で丸くまとめあげられ清楚なイメージ。持ったトレイには高さ15センチくらいのグラスに氷の入ったオレンジジュースと温かいコーヒーが載っていた。
「あ、そこで構わないよ。」
お兄さんがドアの前に立つ“よし子さん”からトレイを受け取ろうと
近づいていった。
ガシャーン!!
よし子さんの手からトレイが滑り落ち、コップが砕け飲み物が散乱する。
よし子さんはすぐさまその場でよろめき入って来たドアにもたれ掛かった。
「お…お嬢さま?…理子お嬢さま?…」
よし子さんは遠巻きながら彼女を目の当たりにしショックを受けてた様だった。無理も無い…生前の面影を残し動いているもののそれはまぎれも無く死体。血色は悪くしかも片腕は食われてしまって無い。更に猿ぐつわされた口元、顔に灰色の目…親しくしていた者であればなおさら信じがたい光景に違いない。
「よし子さん、しっかり…」
お兄さんは震えるよし子さんを落ち着かせようと肩に手をあて撫でた。僕は床に散乱した割れ物を拾った方がよいと思い、片付けをしようとしたがお兄さんが止めた。
「危ないから触らないで…君はお客さんだ。怪我をさせては申し訳ない。」
「いえ、これくらいは大丈夫です。片付けます。」
「そうか?ならガラスは拾わずに、あそこにある箒とちり取りを持って来てくれないか?」
「はい、分かりました。」
お兄さんの差し出した指はガレージの壁に作られた工具置き用の棚の横を差していた。そこに箒とチリ取りが立て掛けてあり、僕はそれを取りに行った。足の震えは収まって来ていた。
僕が箒とチリ取りを持って戻って来までの間に、よし子さんは平静を取り戻していた。
「すみません、理一さん。もう大丈夫です…取り乱しまして申し訳ありませんでした。ここを片付けた後、お飲物をお持ちしますので。」
「いや、すまない。私も気を配るべきだったよ…よし子さんは理子と仲が良かったんだよな…」
「残念でなりません…」 「あぁ…そうだな。」
よし子さんは気を取り直し、僕の方を見て箒をちり取りを受け取ろうと手を伸ばした。
「お預かり致します。」
僕と視線を会わせると頭をさげちり取りを受け取った。
「あの…失礼ですが、こちらのお方は…?」
「理子の同級生なんだ…こんな中、理子を家まで送り届けてくれた…」
「どこかで…お見受けしたかと…どちらだったかしら…?」
「よし子さんも?私もどこかであった様な気がしているんだけど…」
「すみません…お二人とも僕の方はどこかでお会いした記憶はないのですが…」
身に憶えの無い僕は、そう言って二人のやり取りに入ってみるも、二人とも困惑した顔付のままで僕を見ていた。
あまり見つめているのも失礼かと感じたのかお兄さんが話し始めた。
「よし子さん、父さん母さんの様子はどうだった?」
「はい。こちらの事は気になっている様でお二人とも窓際からガレージを
眺めたままで…立ちすくんだ様に動かれずに…」
「そうか…まぁ、二人に会わせるにしてもこの格好じゃあショックを煽る
だけだ。着替えさせて、身なりを整えてから考えようか。」
その言葉に反応した僕。
「本当にすみません…こんなボロボロの状態で…」
「いや、君を責めているわけじゃないよ。よくやってくれた。感謝してる。
すまないがもう少し手伝ってくれないか?理子を理子の部屋まで連れて行きたい。
今の理子は君の方が扱いが上手そうだし、私も何かと心強い。」
「わかりました。そう言う事でしたらお手伝いします。」
割れ物を片付け始めたよし子さんがガレージのドアの前から声をかけた。
「それでしたら、お飲物はお嬢様のお部屋にお持ち致しましょうか?」
「あぁ、そうして下さい。」
よし子さんはお兄さんにそう確認をとるとガレージを離れていった。
僕とお兄さんは彼女を運ぶ準備をする為、彼女の縛り付けてあるソファーのもとへと移動する。彼女を前にすると僕とお兄さんはしばらく沈黙していた。
「…死体が動き出すなんて、誰が予想出来ただろうか…」
寂しそうにお兄さんが語り出す。
「僕も考えた事すらありませんでした…」
「妹がこんな姿になるなんて全く思いもよらなかったよ…
君、ご家族は無事なのか?」
「両親は…二人ともやつらに襲われて死んでしまいました。
親戚は僕が連絡先を知らないもので、どうなっているか解りません。」
「そうだったのか、すまない…軽はずみだった…
悲しい事を思い出させてしまった様だ…」
「僕なら大丈夫です。父は先に死んでしまっていた母に噛まれてしまったのですが、それでも母といつまでも一緒にいる事を望んで死を覚悟して逝きました。どういうわけか…僕にはそれが誇らしく刻まれていて…」
「お二人とも仲がよかったんだね。ウチはどうだろうな…仲が悪いわけじゃないけれど…理子だって受け入れられるかどうか…父は生前の理子をとても可愛がっていたけれど…この騒動以降、人間を喰らい噛まれれば死を招く怪物達にただならぬ恐怖心抱いてしまっている様だから…」
僕の脳裏にさっき見たベンツの血まみれのフロントがよぎった。
「お父さんの車、ベンツですか?」
「あぁ…見たんだね、車。事件後になんとか家に帰っては来れたんだが、運転手も父もしばらく震えがとまらない程で、怪物に人々が喰われ続ける中、血まみれの街道で怪物を跳ね飛ばし引き倒しながら戻って来たらしい…」
お兄さんはそう言いながら彼女にヘルメットを被せ始めた。
続いてガレージの一郭に収められたアウトドア用品の中から寝袋を取り出すと彼女をソファーから解き、蠢く彼女を抱え、寝袋の中に収め頭までチャックを閉めた。僕はガレージの片隅に置かれていた解体された金属製のパーテーションから2メートル程の鉄パイプを2本持って来る様に指示され取りにいく。その間、お兄さんはアウトドア用品の中からピクニックで使われる様な白字に青、黄、ピンクの縞模様の入ったレジャーシートを持ち出し、シートを人一人分乗っかる様な大きさに折り畳むと、パイプを畳んだシートの縁に差し込み簡易担架を拵える。寝袋に収まった彼女を担架へ寝かせると、僕とお兄さんは担架を持ち上げガレージのドアから彼女を外へ運び出した。
外に出ると上空には青い晴れ間に雲が漂い始めていた。
煉瓦で作られた高い壁の中、広い敷地内のキレイに刈られた植木を横目に屋敷の玄関に通じる石畳を歩く。頑丈で大きな家…個体のやつらなら易々と侵入出来そうにない。小高い丘の頂上と言う立地にも坂の苦手なやつらには都合が良さそうだ。
僕の家に比べれば安全性は確実に高い。こうなれば恐るるべきは只一つ、死のオブジェだけだ。例えどんなに頑丈に拵えられた家でもあの得体の知れない大きさへ変わる厄介な行動と自制の無い破壊力を発揮する死のオブジェだけは防ぎ様がないかも知れない…
石畳を進み屋敷の扉が目前に聳える。
観音開きで高さも2メートルを優に越える。
お兄さんが片腕を使って扉を開け中に入ると僕もそれに続いた。
正面には幅3mくらいはありそうな大きな階段が頭上高く伸び、その頂上から左右両脇に伸びるの通路はそれぞれ個別の部屋に続いている様だ。床と壁にはアンモナイトが閉じ込められていそうな立派な石が使われ輝いて見える程。その圧力に尻込みしている自分を感じる。こんな凄そうな家に住んでいたのか、彼女は…。
「待ちなさい!!!」
突然、階段に向かって進んでいた僕達を大声が引き止めた。
声のした方向右後方に首を回す。
声の主は白髪まじりではあるもののしっかりと七三に分けられた髪に整頓された口髭をはやした男性だった。深い茶色の着物を着て両手は前で組み両の足でしっかりと地面を踏んで立っていた。威厳のある風貌、いかにも厳格そうな面持ち。
「父さん…邪魔はしないでくれ。理子を迎え入れよう。」
お兄さんがたしなめる様に話をする。え?彼女のお父さん?!…この厳しそうな人が?うわぁ…怖そうだな…。これほどの威圧感を醸し出す父親を持つ娘さんに恋心を抱いていたとは…家も驚きだったけれどそっちも想像した事すらなかった。例えば彼女とお付き合いをしたとして、結婚まで話が進んだとする…その後、当然この父親に挨拶に伺うとなれば相当な障害…かなりの難関に思えた。
“僕に理子さんを下さい。”
彼女が好きだから、きっとそれは言える。
許されようと許されまいと…
「許さん!!!」
屋敷内にまた声が響く。
僕と彼女の交際を想像しただけでも断られたのかと一瞬勘違いをしてしまい驚きを隠せない僕は、改めて届いたその男の発する言葉に耳を疑った。
「その“化け物”を、家にあげる事は、許さない。」
…お父さん、僕はあなたと意見が合いそうにありません。
(続く)
→第32章へ。
昨年末、携帯からスマホに変えまして、その時にブックマークも一緒に消えてしまいまして、正直・・・忘れてましたm(_ _)m
家のPCのお気に入りでふと思い出したので(^^ゞ
彼女以外のゾンビとは一先ず遮断されましたね?
ゾンビ以外の心配事が出来ましたが、とりあえずは暫くは命の危険は無さそう。
しかし、あの「ガッタイガー(検索してください)」をどうするかという問題がありますね。
当然ストーリーは考えられてるのでしょうけど、正直、予想がつきません、人の力でなんとかなるのでしょうか?
このさい、オートバイに乗る謎のマスクマンを登場させてもいいと思いますが(笑)
恐らく物語も大詰めだろうと思います、もうひと頑張り、宜しくお願いします
こちらこそすみませんです。殆ど進んでいませんで(汗
ガッタイガー(笑)をどうすると言う事は考えていません(笑)。兎に角異形のゾンビを描きたかっただけなので。ガッタイガーは最終日のエピソードには欠かせないアイテムで、結果彼女を実家に引き取ってもらえず連れて帰った僕がふと失った彼女の左手を学校に探しに行こうと思い立ち見つけ出してくっ付けようとするんですが、そこでガッタイガー創造主の死神に見初められ今度は僕が狙われるはめになってしまい…と言う展開です。両親ゾンビやお隣腐乱ゾンビも再登場、騒がしい夜の後の一つの答えなど頭の中ではまとまっています(笑)。バイクに乗ったマスクマンは出ませんが、彼女のお兄さんに借りた原チャリに乗る僕は出て来ます(笑)。エピソードはそれだけでは有りませんのでもうしばらくお付き合い頂けますと嬉しいです。やり遂げるよう頑張ります。