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自作ゾンビ小説の草稿投稿中。
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いらっしゃいませ。


自作のゾンビ物語の草稿を投稿中です。
予定では4日間の出来事として書いて
いますが3年も経つと言うのにようやく
3日目。それでもめげずにやって来れた
のは読んでくれる方がいらっしゃるから
こそと感謝しています。今後も感想なり
コメント頂けますと非常にやる気と
励みになります。宜しければ一言でも
添えて頂けますと嬉しいです。
自作ゾンビ物語。
[portrait of the dead]

めざせ!! ゾンビ小説家!!
ゾンビが好きすぎて自作のお話なんか
拵えております。なにぶん素人の
書く物語なので大目にみて下さい。
「ゾンビと暮らす。」(仮)→目次
スペシャル企画。
不定期更新
◆ZOMBIE vs. BABY◆


「生ける屍対赤児/目次」
「産まれて間もない新生児」と
「死して間もないゾンビ」との比較検証。
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南瓜金助 (みなみうりごんすけ)
性別:
男性
自己紹介:
別HNカボチャスキのお送りします
来た人だけが知っている秘密の部屋。
言うに洩れずホラー映画が好きです。
憧れの人はフック船長と芹沢博士に
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彼らに多大なる恩恵を授かりました。
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[portrait of the dead]




カメラ片手に彼女の元へ向かおうと、
2階への階段を一段登ると下からドンと耳慣れない音がして
慌てて足下を見た。靴を履いたままだったので靴底のせいで
木製の階段から足音が響いたようだ。
そうか、父さんから流れ出た血を踏んでもいいように、
踏んで滑らないようにと、靴を履いたんだった。

階段に一歩足を乗せたまま首を右に回すと玄関先が見え、
外からの夜の街灯に照らされた血の海がどす黒く光っていた。
このまま放っておいたら何れは固まったりして掃除しにくくなるだろう。
彼女の顔を一目見たら、床の拭き掃除をした方が良さそうだ。

音が響きそうなので靴を脱ぎ裸足になると、
ゆっくりと音を立てずに階段を上りきった。
自分の部屋のドアを開けると彼女がこけし状態のまま床に
寝転がっている。夕方、床に落ち、寝かせた時と殆ど動きが
なかった様だ。やはりのり巻きこけしは有効のよう。

しまった…懐中電灯、どこにやった?リビングのテレビの脇か?
いくら暗がりに目が慣れているとは言え、ベッドの影に入った彼女の顔を
見られる程じゃない。締められたカーテンを見るに隙間から入る
街灯の光がかなり明るいのに気が付いた。僕の部屋は街灯の位置が
近いようでカーテンを少しずらせば充分部屋が見渡せるくらいの
明るさが得られそうだ。部屋に入り、カーテンを少しずらすと彼女の顔が
見えるくらいの明りを入れる。色白の彼女の肌は顔を青白く
浮き上がらせた。死んでしまっても綺麗な彼女の顔を見つめる。
視線が合う。うつろな目つきの彼女は僕を覗き込むと
途端にその口は僅かに上下し始め、僕を喰らいたいらしい仕草を始めた。
仕方ない…それでも、可愛い。

ふと、彼女も空腹感を感じ人間を喰らうのだろうか疑問が湧いた。
母さんが父さんの喉笛を喰いちぎったのも空腹からか?
…まさか彼女を養うには生きた人間を捕らえ餌として
与えなければならないのだろうかと、疑問も湧く。
そんな危険な彼女を明日ご両親に届けにいかなければならない…。
本当に連れて行って大丈夫なのだろうか…
彼女のご両親はこうなった彼女を受け入れてくれるのだろうか…。
考えても答えは出ない。明日は行くしかない。

僕は手に持っていたカメラを学習机の上に置き
少し開けたカーテンを静かに閉め、音を立てないように
再び階段を下り、床掃除に向かった。

靴をまた履き、バケツに水を汲み終え、雑巾を絞って、
掃除を始めようと血の海の前に屈んでみた。また疑問が湧く。

さっきは気が付かずに素手で雑巾がけをしたけれど、
今度は素手のまま雑巾で血を拭っても危険は無いのだろうかと。
明らかに“死”が伝染したあとの父さんの血液だ…。
万が一を考えトイレ掃除用のゴム手袋を使う事にする。
得体の知れないものに迂闊に触る事はさけた方がいい。
触っても伝染しないという保証はないのだ。

…とすると、やつらを“死”と言う名の一個の病原体と考えて
みるのはどうだろうか。もともと僕らは何れ“死”を迎える生物で、
言うなれば“死”を免れる事の出来ない、その実やつらへの“免疫”を
持てない体質で、感染を予防すると言う事など到底不可能では
ないかとさえ思えて来た。人間を死に至らしめる事がやつらの
目的だとすれば、死は本来人間にとって組み込まれた状態の一つで
必ず訪れる事が決まっているわけだから、やつらの攻撃が死である以上
人間である僕らは全く持って防ぎ様が無いのかも知れない。

ならば、人間を喰らうと言った行為はどうしてか。
例えば夕方に帰宅して玄関のドアを叩く騒がしい夜が
生前の習慣によるものとするならば、噛みついた時点で
口に入ったものを“食べる”と誤認して喰らっている可能性もあり、
その前にある“噛む”と言った行為こそが彼らの要で、
噛むと言った行為は野生動物にみれば、護身や攻撃、
息の根を止める事で、やつらとしても護身し人間を攻撃しているか
あるいは息の根を止めようとしているだけの行動と考えれば、
それは人間を食べる為ではなくただ死に至らしめる為の
最も原始的で単純な行動をとっているだけと考えられるかも知れない。
死んでいるやつらに食が必要とは思えないし。
そうであれば、やつらはついでに人間を喰らっているの
かもしれない事になり、生前の行為の踏襲と重ねれば、
人の食への執着心をみたような気になった。


血の海を拭き終え、真っ赤になったバケツの水を浴室の
排水溝から流し、さらに排水溝をシャワーノズルを使って
水道水でキレイに洗い流した。一段落し、一息つくと
急に喉の乾きを感じ、水を飲みにキッチンへ向かう。
突然、体中に筋肉痛の様な痛みが押し寄せて来た。
やばい、もうヘトヘトだ。

キッチンに向かう歩く足取りがやつらとそう変わりない事に気付き、
笑えて来た。まさかやつらも今の僕みたいに体が痛いから遅いのか?
死してもなお痛みを伴うのは想像を絶し考え及ばない。
新しい死が、静かで安らかな死ではない事だけは確かだなと思った。

のどを潤すと靴を脱ぎ、ようやく彼女の待つ2階へと上がった。
学習机の上に置いたカメラを手に取ると、
再びカーテンを少しずらし、外からの街灯の光で部屋の中を照らす。
僕はこけし状に包まれ横たわった彼女の前に座り込み
カメラを使って彼女に試してみたいと考えていた事を実行した。

彼女は写真部だ。
死してなおカメラを操った彼女が
カメラを見せた時にどう反応するのか…。

何かを期待しながら僕はカメラを構え
彼女の顔をファインダーから覗いた。

…!!!

なんて事だ、信じられない!!


…その時、その現象に、僕は涙した。



その夜は両親の寝室のベッドに横たわって眠りについた。
僕の部屋で横たわる彼女と同じ空間で眠るには
いくらなんでも危険が伴うだろうと思ったからだ。
父さんと母さんの臭いだろうか…“生前”のしみ込んだ跡が僕を包む。
今日も酷かったな1日…両親が死んでしまったんだよ。
その姿を僕はこの目で確認したんだ。母さんは、昨日なんとなく
それと感じれはいたけれど、折角無事に帰宅出来たと言うのに
父さんは注意しきれずに母さんを陥れた死を受け取ってしまった。
2人の変貌した姿の異様さはこの世に存在するものの姿とは
到底思えない異常な姿だった。この世ではないのなら…

…それは、どこ?



夢を見た。

僕の通った学校の中庭。
芝生が敷かれ、春ともなれば囲うように植えられた沢山の種類の
木々から若葉が息吹く憩いの場だ。休み時間ともなれば
生徒達が校舎からゾロゾロと現われ気分転換し始める。
夢の中では僕と彼女の2人だけの世界で大勢の生徒は削除されていた。
遠くに彼女を見つけた僕は彼女に近づいていくと
彼女はのろのろと歩く後ろ姿を見せていた。まるでやつらのようにだ。
それでも僕は何故か何のためらいもなく携帯電話を片手に、
付いているカメラ機能を使って彼女を画像に収めようとして追いかけた。

追いかけても追いかけてもなかなか追いつかない。
のろのろと歩いているだけなのに。
届かない思いに不安が募る。

ふと彼女が立ちどまり動きを止める。
僕は恐る恐るだが携帯のカメラのレンズを彼女に向け
液晶画面に目をやりながら彼女に近づいて行った。
彼女は後ろ姿のまま微動だにしない…まさか、振り向いて僕を喰らう気?

おもむろに彼女が振り向いた!!
彼女の両の腕が僕に向かって伸びて来た!!
二本の腕で僕に掴みかかり襲う気か!!

僕が覗き込んでいた携帯電話の液晶部分に映り込んだのは、
彼女が指で示したジャンケンのチョキだった。
いわゆる“ピースサイン”。しかもダブルで。
そうじゃない、ぼくは彼女の姿を収めたいんだと
急に思い出したかのように、チョキの指の股越しに見える
彼女の顔をフレームに収めシャッターを切った。

液晶画面に取り込まれた彼女の顔、その表情は何度も目にしていた。

会話をした事もない、となりのクラスの彼女に出会う事が出来たのは、
運が良ければ授業の合間の5分間の休み時間に友達と会話している
姿と、昼休みの温かい晴れの日には必ずにいる僕の教室から見える
木蔭の芝生の上で楽しそうにお弁当を食べている姿。

その時はそう、必ず微笑みを浮かべていた。
僕はこの笑顔にも心を動かされていたんだ。


夢を見た。
彼女の笑顔の夢を。

眠りに付く前、僕は涙を流した。
たまらなく嬉しくて。

今日1日の緊張感が一瞬にしてほどけて行った出来事は
僕の脳裏に痛烈に焼き付いた。


彼女の顔へ向けたデジタル一眼レフカメラの

ファインダー越しに見た

死んでいるはずの、

彼女の放った

満面の笑顔のせいだ。



(続く)





第25章へ。
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