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自作ゾンビ小説の草稿投稿中。
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いらっしゃいませ。


自作のゾンビ物語の草稿を投稿中です。
予定では4日間の出来事として書いて
いますが3年も経つと言うのにようやく
3日目。それでもめげずにやって来れた
のは読んでくれる方がいらっしゃるから
こそと感謝しています。今後も感想なり
コメント頂けますと非常にやる気と
励みになります。宜しければ一言でも
添えて頂けますと嬉しいです。
自作ゾンビ物語。
[portrait of the dead]

めざせ!! ゾンビ小説家!!
ゾンビが好きすぎて自作のお話なんか
拵えております。なにぶん素人の
書く物語なので大目にみて下さい。
「ゾンビと暮らす。」(仮)→目次
スペシャル企画。
不定期更新
◆ZOMBIE vs. BABY◆


「生ける屍対赤児/目次」
「産まれて間もない新生児」と
「死して間もないゾンビ」との比較検証。
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南瓜金助 (みなみうりごんすけ)
性別:
男性
自己紹介:
別HNカボチャスキのお送りします
来た人だけが知っている秘密の部屋。
言うに洩れずホラー映画が好きです。
憧れの人はフック船長と芹沢博士に
スネーク・プリスキンとDr.ルーミス。
彼らに多大なる恩恵を授かりました。
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[portrait of the dead]


2階へ上がる階段の最上段から延びている廊下の天井には
1m四方の四角い扉があり開ければ中にはハシゴ状の階段が
設置されていて、それを登るとそこは中腰にならなければ
移動出来ない高さの物置があった。
いつか使うかも知れないと収められた雑貨や
折り畳まれた段ボールの数々積まれている。
どこか秘密めいた雰囲気が好きだったのか子供の頃はよくここへ
入っては母さんに叱られたものだが、ある程度背丈が伸びてしまうと、
中に入るのは母さんだけになっていた。

僕はそこへ入ると、
天井からぶら下がっているだけの裸電球のスイッチを入れ
辺りを見渡し、たたまれ埃の被った大きめの段ボール箱を見つけて
小脇に抱えると再び明かりを消しハシゴを降りて、
ハシゴを天井に収納すると物置の扉を閉めた。

ハシゴ状の階段を下りきった丁度右手には僕の部屋のドアがあり、
ドアを開けると中を覗いた。彼女は変わらず布団に巻かれた、
まるでこけし状態でベッドに横たわっている。
段ボールをドアに立て掛けてから部屋の中へ入り彼女に近づくと、
彼女は首を前後にゆっくりと動かしその口をパクパクさせ始めた。
そんなに僕が食べたいのか?

………旨いのかな?僕らは。

彼女の様子を確認し終えると
段ボールをまた抱え、部屋のドアを閉め階段を静かに下りて
リビングへ向かった。リビングに入るとキッチンの脇にあった
電子レンジを自分の書斎へ移動する為に抱えている父さんの姿が
目に入った。そのまま父さんは書斎の床にレンジを置くと電源を入れる。
「丁度いいのがあったよ」
「それなら間違いないな」
抱えていた段ボール箱には電子レンジの絵柄が書かれていて
買った時から物置にしまわれていたらしい。
父さんはレンジの扉を開けると、厚さ4ミリ幅4センチくらいで
20枚程にスライスされた短冊状の元ステーキ肉が乗せられた皿を
レンジのトレイに置き、タイマーをセットし始めた。
「1分半くらいかな?」
「うん、そのくらいでいいと思う。」
レンジの調理設定ボタンを押すとピッと言う音がする。
これはどうしようもないか?仕方なく、念の為開けっ放しだった
書斎のドアを閉めると音のするまま、加熱時間を設定。
スタートボタンを押し調理が開始されると僕は箱状に形作った
段ボール箱をレンジに被せ、父さん一人を書斎に残し
リビング側へ出て書斎の扉を閉め、書斎から漏れて来るだろう
音に耳を傾けた。微かにレンジの調理終了のピー音が聞こえる。
…微妙か?大丈夫だよな?これくらいの音なら…。
外には漏れていなさそうだと思える音量を確認し
僕は再び扉を開け書斎の中へ。
「どうだ?」
「毛布なんかを被せれば完全に聞こえないかも」
僕らはレンジから出る音を懸念して実験を試みていた。

レンジから熱せられた元ステーキ肉だったスライス肉を取り出し
リビングのガラステーブルの上に置く。ガラステーブルの上には
他にレタスを千切ったものとキュウリのぶつ切りに、
スライスチーズと食パン、ウーロン茶の入ったペットボトル、
マヨネーズ、ケチャップ等を用意していた。
僕が移動させたソファーも元の位置に戻され、
一見すると普通の食卓風景だ。
ようやく久々の食事にありつけた。

リビングのTVを点ける。
耳に微かに届く最小限の音量。
画面は今だ昨日からの模様のダイジェストで
新情報が伝えられた様子は感じられなかった。
「明日、どうする?何時頃、向かえばいいんだろう?」
父さんが肉と野菜を挟んだ食パンに齧り付きながら話しかける。
「そうだね…車で出られるし昼過ぎがいいかも知れない」
「昼過ぎはやつらおとなしいのか?」
「死ぬ前の生活が行動に影響しているのであれば
出勤時間は避けるべきだろうし、午前中はなにかと行動していそうだから
昼休みも過ぎて落ち着いた2時くらいとかよくないかな?」
「…そのくらいが無難かもな。」
TVには血まみれでうろつくやつらの群れが映しだされていたけれど
僕らは気にもせず食事を続けていた。以前だったらこんなドギツイ
映像には箸も止まっていたはずだろう。なれのせいだろうか?
なにか僕らから大事な要素が少しずつ削がれて行く感じがしていた。
思いのほか元ステーキ肉スライスサンドは美味しく食べられた。
うまい肉はうまい餌をたらふく食べさせられた成果だと
聞かされた事がある。ならそのうまい肉を食べた人間の肉は勿論……

………旨いのかな?僕らは。

旨ければ喰われても仕方ないか。
僕らも様々な旨いものを捕獲し喰らっていたわけだし。
…やつらは旨いから喰っているわけでは無さそうだけれど。


腹ごしらえを済ませ食事の後片付けをした後、
僕は明日する事をある程度予定しておこうと彼女の家の住所の
記されている住所録を調べに自分の部屋へ向かう事にした。
父さんは汗を流しに風呂へ入ると言ったので
「音にはくれぐれも気をつけて」と一言言い残して分かれた。
自分の部屋に入ると彼女は変わった様子無くこけし状態で
横たわっている。僕はベッド脇にある学習机に向かい見下ろすと
彼女が机の上に書いたハートマークにどうしても顔が緩む。
全く…可愛らしい死者だ。
椅子を引き出し、机の前に座ると、机の右側にある三段重なった
引き出しの一番上を引き、同学年全員の連絡先が記載されている
小冊子を手に取った。僕の右側には横たわった彼女の顔が見える。
相変わらず瞬きしない目に絶えず上下する唇。
小冊子を机の上に置き、彼女のクラスの載っているページを開いた。
僕たちの通っている高校を中心とすると、お互い全く逆方向に家が
位置していた。最寄り駅から電車に乗っても駅3つ分は離れている。
父さんが車で連れて行ってくれると言っていたけれど、
車でも15分はかかりそうだ。父さんがいてくれて良かったかもしれない。
椅子の背もたれに寄りかかり、ホッと胸を撫で下ろした。
後で書斎のパソコンを借りて詳しい道のりの検索をしておかないと。
なんて無茶な約束をしてしまったんだろう…
でも行くと決めたのは僕自身だし、
このハートマークは明らかに彼女自身の記憶に他ならないはず。
もっと、活き活きとさせられる事が出来るのなら…
死の中からより多くの生を引き出せるのなら…
それは死ではなくなるのかも知れないと、
心のどこかで信じたいんだと思う。
彼女が“生きて”いると言う事を…。


ドスン!!

何かが落ちたような音がした。
音のした方を見ると彼女がベッドから落ち、
頭を学習机とベッドの間の隙間に挟み込んでいた。
「うわっ!! たたた、大変だ!!」
僕は慌てて彼女の足の方抱えてを引っぱり、
隙間から頭を引き抜いた。椅子をどかすと彼女の頭に怪我など
無いかと噛まれない様に注意しながら頭を撫で確認した。
よかった…明日、ご両親に会う事になるのに、
頭がもげましたでは済まされない。
ふと、外から部屋に入って来た光が彼女の顔を
オレンジ色に照らしたのに気が付く。

……夕方だ!!

どうやら僕は椅子にもたれかかったまま寝てしまっていた!!
1時間くらいか?危ない。彼女は1時間かけて僕の喉笛を狙おうと
少しづつ体をくねらせ移動していたらしい。もし、音に気が付かずに
寝ふけっていたら、足首でも噛み付かれていたに違いない!!
そうだ、早朝に河井の電話で起こされた状態だ。
今日は早起きだった…そのせいだろう。
…河井はどうなった?
消防士さん達には僕の連絡先を伝えてなかった。
もらったメモにあった電話番号に連絡してみようか、あとで。
ポケットに入れたままのメモを取り出し机の上に置いた。
いまはそれどころじゃない。心の準備が必要だ。
夕方…やつらが帰る…それぞれの家に…もうすぐ。
彼女は床に寝かせたままでいいだろう。
またベッドから落ちでもしたら大変だ。
僕は騒がしい夜に向け、父さんと覚悟しなければならない。
母さんが、帰って来る。この家に…。おそらくは下半身の無い姿で…。


リビングに向かうと父さんは平然と蛍光灯をつけ
ソファーに座り風呂上がりのガウンを着て冷蔵庫から出した
1リットル紙パック入りのアイスコーヒーをコップに注ぎ
飲みながらテレビを見て寛いでいた。
僕は慌てて蛍光灯とテレビのスイッチを切る。
「…明かるいと、もうまずいから」
「そ、そうか?すまない…新聞紙貼ってあるから、大丈夫なのかと」
この状況で父さんが呑気なことに少し苛立った。
父さんが漂わせた空気感が緊張感を削いで行くのが判った。
気を引き締めないといけない…命取りだろ?
「念のためだよ…外からどう見えているのかわからないから…」
「悪かった…」
「父さん…もう夕方だ…母さんが、帰って来る。」
「あぁ…母さんを家に上げてあげよう、必ずな。」

オレンジ色の輝きは薄れ、外は一層暗さを増して行った。
僕はキッチンの窓を1センチ程開け、外の様子を見た。
やつらが点々と、家路を急いでいるであろう姿が見えた。
どこからか、音が聞こえ出す。

ドンドン…ドンドンドン…

始まった。2日目の騒がしい夜が。

ドンッ!! ドンッ!! ドンッ!!

来た!!! ウチの玄関を叩く音が!!
キッチンの窓を閉め、父さんと顔を見合わす。
父さんはコクリと頷くとゆっくりと玄関に移動し始めた。
さっきまでとは違う真剣な面持ちに変わっている。
父さんの指示に従おうという気にさせていた。
やつらに気付かれずに母さんを中へどうやって入れる?

「宏幸は覗き穴から外の様子を見てくれ。辺りにやつらの
気配が無くなったら合図して玄関のドアを開けてくれ。
私はドアが開いている隙に母さんを引き入れるから」

言われるまま父さんの計画は妥当だと思ったので賛同し
僕は覗き穴から視界が狭いながらも辺りを見渡した。
道路を照らし始めていた街灯の明かりが玄関扉の上部の明かり取りから
差し込み、暗くなった家の中の輪郭をぼんやりと浮かび上がらせている。
玄関の扉からは絶え間なくドンッドンッドンッと扉の下の方を叩く
音が響く。心拍数がその音よりも早いペースで脈打つ。緊張が走る。
向かいの家では章太君も頭に出刃包丁を突き立てられたままの姿で帰宅し
ドアを叩き始めていた。辺りをうろつくやつらの姿が途切れる。
「噛み付かれない様に注意して…父さん、いい?開けるよ!!」
「よし!! 来い!!」


トビラヲ、アケタ。

ソノセツナ、ドアニオオイカブサルヨウニシテ
ドアヲタタイテイタカアサンガ、タオレコンデキタ。
トウサンハコシヲカガメテ、カアサンヲヒキコムヨウイヲ
シテイタケレド、カアサンノチマミレノスガタヲミルナリ、
オドロイテアトズサルト、ゲンカンノシキイニカカトヲブツケ、
セナカカラタオレコンデシマッタ。
カアサンハ、トウサンメガケ、ハイズッテイエニハイリコム。
コシカラシタノナイカアサンガ、イエニハイリキッタノヲ
ミトドケルト、ボクハゲンカンノトビラヲシメ、
カアサンヲオサエコムツモリデカアサンノコシヲ
リョウテデツカモウトシタケレド、
キズグチガキケンヲハランデイルコトニキヅキ、
テヲヒイテシマッタ。
トウサンヲメデオウト、
コノヨノモノトオモエナイモノヲミタトイウフウナ、
ヒキツッタサケビスラデナイカオヲシテイタ。
ボクタチハ、ナニモカモ、
ジュンビヲオコタリスギテイタコトニ、
イマキガツイタ。

「父さん、早く立って! ひとまず、逃げて!」
僕は小声に近い叫びを口にしたがそんなのが聞こえる筈も無い。
母さんは父さんの足を掴むとそれを支点に一気に父さんに被り寄った。
僕は慌てて着ていたスウェットを脱ぎ、母さんの腰に巻き着け
押さえ込もうとしたが母さんの進行は力強くて止めようが無い!!
なんて力なんだ!! 父さんは近づく母さんの顔を押さえ込もうと
両手を伸ばし母さんの頭と肩を押さえ込んだ。

「があぁぁぁぁぁっっっっ!!」

家中に叫び声が響き渡った。
母さんの肩を掴んだ父さんの左腕の肉を母さんが噛み千切っていた。
廊下はすぐに父さんから流れ出る血で真っ赤に染まった。
僕は母さんの腰に巻き着けていたスウェットを剥がし、
母さんの顔に被せると、母さんは一瞬ひるんだのか、
父さんを掴んでいた腕を解き、今度は僕の方へと向きを変えた。
父さんは傷口を右手で押さえ悶え苦しんでいる。
ひとまず母さんをどうにかしないと!!
僕は這いずりながら近づいて来る母さんを飛び越え父さんの横へ。
危うく血の海に足をすくわれそうになるが持ちこたえた。
「父さん! 大丈夫?」 大丈夫なわけない。
止血のため、風呂上がりの父さんが着ているガウンから帯紐を解くと
左腕を強く縛り付けた。「す、すまない…宏幸」
「いいから、リビングに隠れて」
父さんを移動させると、さらに向きを変えて僕の方に向かって来る
頭にスウェットを被されたままの母さんを見据えた。
僕へと延ばされた母さんの二本の腕。
僕はそれを掴むと、そのまま母さんを一気に風呂場まで
引きずりながら移動させ、お湯の張られた浴槽へ放り込んでしまった。
「か…母さん、ごめん!!」
風呂場のドアを閉め母さんを閉じ込める。
風呂場の扉は半透明のプラスチックの様な素材で
ぶち破られそうだったので、脱衣場に設置してあった洗濯機を
風呂場の扉の前に移動しバリケード変わりにして、
その場を去った。



やつらに気が付かれずに
母さんを家に引き入れる事には成功した。

…が、致命的失態。

父さんが、噛まれた。

もらした叫び声は騒がしい夜にかき消され
やつらまでは届かなかったようだ。

なぜ、こんなにも油断してしまったのだろう。

酷すぎだ…。

最悪の事態が、父さんに降り掛かってしまった…。



噛まれたものは1時間程度で死に至る。
合い言葉の様に、TVではそう言い続けていた。



(続く)

第21章へ
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